一昨日の夜

前の人(しゅんさん)がスタッフに促されあいぼんから離れた。同じスタッフがHMXのほうに向かって「次、どうぞ」と声をかける。あいぼんと眼が合う。溶け始めた砂糖菓子のような笑顔がHMXに差し向けられた。壊れたからくり人形のようなぎこちなさでHMXはあいぼんに向かって歩き始める。次の瞬間、HMXの掌は陽だまりに包まれた…

h:こんばんは (しっかりと視線が合う)
a:こんばんは (うっ・・すげ〜可愛い!!)
h:あの…
a:?んっ   (小首を傾げてる〜〜!)
h:あいぼんの歌声聴くと
a:うん
h:いっつも幸せな気持ちになります(うわっ言っちゃった)
a:ホント〜?ありがと〜♪  (メッチャ嬉しそうな顔してる〜〜!)
h:あの、歌・・可愛い歌、これからも聴かせてください(あぁ、スタッフさん、そんなに肩を押さないで;!)
a:ん、ありがと〜ございます (手、手が離れちゃう〜、でもメッチャ可愛い〜!)

掌に春を残しあいぼんの手がHMXから離れた。しかし、そのぬくもりもHMXには余韻にひたる余裕は与えない。隣にはのんちゃんがやはりその両掌をひろげてHMXを待っていたのである。

h:どうも  (うわぁ"お互いに手を握り合ってるぅぅ!)
n:はい   (な、何なんだ!この笑顔は!天使だ!目の前に天使がいるぅ!)
h:あの…  (ヤバッ!心臓が32ビートを刻んでる!)
n:…?   (その瞳、眩しすぎるよ〜!)
h:サッカー?・・っじゃなくてフットサル(ヤバイ!間違えちゃった〃)
n:あはは、はいっフットサル(あっ?でも喜んでくれたかな?)
h:ゴールに一番近い席のチケット、取れました
n:え〜っ!ほんと〜!  (やった!凄い喜んでるぅ!…ちょっとスタッフさん、引っ張らないで!)
h:試合思いっきり応援します、こんどこそ優勝です!
n:はいっ!ありがとう!頑張ります! (これだ!この笑顔を見に来たんだよ!!あぁっ!手が離れるぅ!)
h:のんちゃん、ファイト!!  (スタッフさん!そんなに押さないで!あぁぁ……)
n:ファイト!!   (のぉぉんちゃぁぁぁ〜〜〜んん!!…)

…最後にHMXが見たのは、両手をグーにしてガッツポーズを決めるのんちゃんの笑顔だった。そのときののんちゃんの笑顔は、世界でHMXただ一人に向けられた笑顔だった。もちろん、この日にのんちゃんが見せた笑顔で一番だったことは言うまでも無い。


イベント会場というパラダイスを後に地上へ向かう階段でHMXは涙を一粒だけ落としていた。
その涙は悲しい涙ではない。その涙は愛という名の涙である。
WによってHMXの心のタンクに満たされた愛が、その膨大な量に耐え切れず溢れてきたのである。
その愛を糧にして、HMXは生きているのである。
あいぼん、ありがとう。
のんちゃん、ありがとう。
HMXは、まだまだ生きていけるよ。
でも、愛が足りなくなったら、またちょっとだけ愛をわけてね。とりあえず、次は駒沢あたりで…

「のんちゃん!ファイト〜〜!!」